くうどうのもつものがたり

ひとは、山にも土にも海にも空気にもなり得る。幼い頃、この身体はいつか、この空気の粒子に融けてゆく、という予感に近い感覚があった。そこには、山から香る土の匂いがあった。私は、言葉になる前の未分化の感覚を形にしようと試みる。そして、作ることで自分に、世界につなげてゆく、考える。全てのいきもの、カタチをもつもの、の空洞性、皮膚感を考える。空洞がたたえるもの、あるいはその中に棲むもの、を考える。見えるのはそのものの表層だけだが、中に在るものを感じることはできる、想像することはできる。空洞のなかに、在るものも。